2012年4月30日月曜日

直下型地震への備え

直下型地震では、震源が近いので地震波がP波(初動の縦のやや小さなゆれ)・S波(遅れてくる横波の大きなゆれ)が、ほぼ間髪をいれずにやっています。このため、ゆれが始まったときには、何も出来なくて、人の生死がその一瞬で決まります。このため、事前の備えが必要となるのです。
最近の多くの地震の被害を数多く見てきましたが、新しい住宅やマンションは耐震設計が優れていて、建物が完全に壊れることはないと考えています。このため備えたいことは、家屋内の家具などに倒れでしょう。その配置や固定が重要です。もちろん生き延びた後の備えも必要です。水や食料の備蓄が必要で、2,3日は自立できるようにしたいものです。
ただし、今まで宅地での耐震として考えていなかった4つの想定外の被害が起きてきています。①液状化、②谷埋め盛土のすべり、③崖崩れ・地すべり、④津波です。これらの被害は現在の普通の耐震設計では対応できないので、自分の宅地がそれらの被害に遭いやすいようでしたら、そのための準備もしていただきたい。
また、④津波は直下型地震ではまず起らないと考えてよいでしょうが、そのうち話します海溝型地震の際、重要になります。

2012年4月28日土曜日

直下型地震

さて、最近、首都圏では直下型地震の懸念が高まっています。この直下型地震にどのように備えたらよいか考えてみましょう。地盤のゆれの大きさは、複雑な要素を含んでいますが、一般的には次のように考えてよいと思います。
都市の直下の10km以上深い硬い岩盤で活断層がずれ、直下型地震が起きる。その波は、岩盤内を伝わって地表に達する。波のゆれの大きさは硬い岩盤では、震源の大きさと変わらない。しかし、軟らかい岩、礫層、砂層、粘土層、埋め立て土と軟らかくなるにつれ地震波は増幅され大きくなっていきます。これが、地盤のゆれやすさです。当然、硬い岩盤が露出する山地はゆれが小さく、やわらかい地層の多い平野ではゆれが大きくなるのです。しかも、東京など軟らかい地層が厚く堆積しているところでは、地震波が軟らかい地層の中で反射を繰り返し、長期間ゆれが続く現象が認められています。また、神戸のように急な山の下では、地震波が集中し増幅する場所があることも指摘されています。
ゆれが大きくなると予想される地盤や場所では、家屋の被害が大きくなるのですぐにでも地震への準備をしたほうがよいでしょう。

2012年4月26日木曜日

直下型地震と海溝型地震

地震を大きく分けると直下型地震と海溝型地震に分けられます。直下型地震は、地殻の中の活断層のズレで発生し、規模の大きいものはしばしば活断層が地表に現れます。これを地震断層と呼びます。都市直下でも起る可能性があり、阪神淡路大震災や中越地震など数多い。それに対して、海溝型地震は、東日本大震災のように陸から離れた海溝沿いのプレート境界がズレて起る地震です。規模が大きく津波を伴うのが一般的です。

2012年4月23日月曜日

活断層と震源

地震は活断層が動いて起ります。つまり、活断層の分布は、地震がここで起りますよということを示しています。活断層は最近繰り返して活動している断層で、今後もズレを起こすものをいいます。つまり、昔の活動を停止した断層や地すべりなどの一過性の地盤表層のズレは活断層とは言いません。
この地下深部の現在も生きている断層が、動いたときに地震が起ります。この活断層が地表に出ていれば、わかりやすいのですが、地下に潜ったままのものもあるので注意して欲しいのです。この活断層があなたの家に近ければ、ゆれにくい地盤でもゆれは大きくなります。活断層が遠ければ、ゆれやすい地盤でもゆれは小さくなります。
当たり前のことです。
 どこの活断層がいつ実際動くかは、研究中でよくわからない点も多いのですが、最近耳にする活断層はなくても地震が起るという表現については、次のような理解が正しいと思っています。
長さが10km未満の活断層は地表に出ることはありません。なぜなら、震源は地下10km以深で発生することが多いからです。長さが足りないので地表に活断層が届かないのです。このため、地表に活断層が出ていないところでも地震は起りますが、M6(長さが10km程度の活断層でのズレのだいたいのエネルギー)程度までで大きな規模の地震はないと考えてほしいと思います。
活断層がなぜそこにあるのか、活断層の端はどうなっているのか、地表のやわらかい地層があると活断層はどうなるのか(とう曲のはなし)、長い活断層ではどこまで一緒に動くのか。まだまだ、わからないことは多いのですが、活火山と活断層との位置関係についても面白い傾向も読み解けます。これらについてはいずれ話したいと思っています。

2012年4月21日土曜日

地盤の良し悪し

地震のゆれの大きさは、あなたの住んでいる地盤や地質の固さと震源からの距離によって決まります。
ゆれの小さいところは、固い岩盤の花崗岩などの深成岩や古第三紀・中・古生代の堆積岩・変成岩が分布するところです。しかし、残念なことに、ここは、急峻な山地が多く、人があまり住めないところでもあります。ゆれの比較的小さなところは、軟岩といわれる新第三紀層や洪積世のよく締まった礫層からなる丘陵地や台地です。ここでは、古代の遺跡や古い集落が多いようです。昔の人は地盤の良いところを良く知っていたわけです。
皆さんの多くが住んでいる平野部のやわからい沖積層が分布するところでは、微高地の砂層が主体となるところでは、平野部の中でもゆれはそれほど大きくない。ここでも古くからの市街地が多いのです。
それに対して、平野部低地のやわらかい粘土層などが分布するところでは、ゆれが大きくなります。昔、田んぼになっていたところです。ここでは、現在新しい宅地が広がっていますので注意したいと思います。
特に、海や池・川の埋立地や湿潤地では、著しくやわらかな地盤となるので、ゆれが特に大きくなります。今まで、民家はなかったところですが、最近新しい宅地が広がってきています。千葉県の浦安などがその例です。
今までの地盤の話は、地震がどこで起きてゆれがどの程度起るかを示していません。一般論として、日本全体がゆれたらここでゆれが大きいか小さいかを言っているだけです。
それでは、あなたの家がどれくらいゆれるかを決める活断層について次回話しましょう。

2012年4月18日水曜日

危ない土地と安全な土地

さて、新年度になり、川崎では桜も咲き終えました。
これから、危ない土地と安全な土地の話をします。地震や豪雨、火山噴火、津波、雪崩、洪水などの自然災害に強い土地と弱い土地があります。さらに、普通に暮らしていても、どうも地盤が傾くなどの現象が起きる土地があったり、隣で工事や造成が始まり家の地盤が少し変になったと感じる地盤もあります。それは、この土地がどうして出来たかを調べるとわかってきます。はじめに、代表的な危ない土地の話をいくつかしましょう。
 その後に、皆さんには、ダーツの旅にでてもらいます。日本地図にダーツを投げて、当たった土地の安全性や危険性の話をしていくつもりです。どこに当たるかわかりませんが、一緒に旅を続けましょう。