2012年5月20日日曜日

南海地震に備えて

 南海地震は紀伊半島沖から四国南方沖を震源とする海溝型の巨大地震(M 8級)で、過去に何度も活動を起こしています。有史では、684年白鳳地震があり、最新の活動は、1946年発生した昭和南海地震があります。その前には1854年安政南海地震や1707年宝永地震(東海・東南海地震も連動)があります。ちょうど100年周期くらいの活動であるので、そろそろ危ないのではないかといわれています
海溝型の地震である南海地震が発生した場合には、平野部での大きなゆれと液状化被害、そして大きな津波の被害が発生します。崖崩れや地すべりへの警戒もして欲しいのですが、直下型地震に比べて大規模なものは少ないと考えています。また、東海・東南海・日向灘沖地震が連動した場合には被害は甚大で、その津波高さの見直しが進んでいます。直下型地震との違いは、大きな横ゆれは、比較的小さな縦ゆれの後に来ますので、揺れに対して少し時間的余裕があります。さらに、津波はその後にやってくるので、逃げる時間があります。家財は失っても命は守りたいものです
津波の対策として、東日本大震災の例で言うと津波の前に、地震で地盤沈下が発生したり、防潮堤が液状化で壊れた箇所もありました。ハード対策だけへの過信は禁物で。事前の避難準備と地震時の早めの避難が重要で。地域や家族で十分に話し合って欲しいと思います

2012年5月17日木曜日

東海地震

東海地震は、かなり前から来る来ると言われ続けてきました。このため、地震に対する備えは日本の中でも最先端といえますまた、建物の耐震性や避難訓練は進んでいます。インフラの耐震性についても対策が続けられています。たとえば、駿河湾に面した由比地すべりは規模が大きく、地すべりの足元には由比の町だけでなくJR東海道線、国道1号線、東名自動車道が走ります。この東海道の重要な動脈を守り、由比の町を守るために由比地すべりの耐震対策が行われています。地すべりに対する耐震対策は我が国初めてでしょう。また、津波対策も避難タワーが各所で作られています
しかし、ここに来て、東海・東南海・南海地震などの連動の可能性が言われ始めました。そのための準備が今後の課題で今までに、宝永・関東大震災の津波被害を受けところの多く。これらの記録や連動した場合の津波の予測などを交えて、津波への対応が迫られています

2012年5月14日月曜日

海溝型地震

海溝型地震は、太平洋側の海溝に海のプレート沈み込んだときにずれて起る地震です。一般に規模が大きく、東日本大震災のように連動型になるとなおさら巨大な地震になります。津波を起こしやすい地震ですので、海溝型地震の際は、すぐに高台に逃げないといけません。
現在、注目されているのは、東日本大震災の震源の北側の青森から北海道に掛けての海溝と東日本大震災の震源の南側の房総半島沖の海溝です。
さらに、西に行くと相模湾の海溝(関東大震災の震源)、東海・東南海・南海・日向灘の海溝です。東海・東南海・南海・日向灘の海溝が連動した場合には、東日本大震災を超える被害が予想されています。津波では、半島部のリアス式海岸の集落や、御前崎・伊豆半島の岬の先端で海岸線が浅くなっているところは要注意です。また、高知平野など海溝型地震で地盤が沈降するところでは、その後の津波被害が大きくなります。

2012年5月12日土曜日

活断層の上の宅地

それでは、一般の宅地はどうだろう。横須賀では造成中に活断層が見つかり活断層沿いは緑地にし、建物をはずした例があります。しかし、あまり活断層を考慮した立地や対応策をした例を知りません。宅地についても活断層を避けたほうがよいでしょう。活断層の位置は、都市圏活断層図や日本の活断層図に出ているので参考にしていただきたい。
では、どのくらい活断層から離したらよいか。定説はありません。地盤によって異なると考えています。地盤良い事例を紹介します。20114月に活動したいわき市の井戸沢断層の例では、活断層直上の家屋は全壊で取り壊されました。家の脇を通った活断層では、縁側のサンルームだけが壊されました。母屋と離れ屋の間を通った活断層では、渡り廊下はずれて壊れたが、母屋と離れ屋に大きな被害はなかったようです。固い岩盤の上に建つものについては数mといったすぐ近くでも大きな被害がなかった例です。地盤の軟らかいところでの被害例などをみるもう少し広い範囲で被害がでています。これらの例を参考にして個人的には宅地を活断層から数十m~100mくらい離したほうがよいと思います。
また、井戸沢断層と同時に動いたいわき市の湯ヶ岳断層では、直上のお寺が全壊し、その南方延長の住宅では地表のずれは無かったものの、宅地地盤から大量の温泉水が湧き出した。現在も湧水は止まらず、住民の不安が募っています。

2012年5月10日木曜日

活断層の上の土地

住宅・マンションの地震対策としては、地震のゆれに対応した耐震設計が行われてきました。つまり、地盤の改良や耐震・免震設計です。しかし、活断層が建物の地下にあったどうだろう。いくら地盤改良や耐震設計を行っても活断層が動いてズレが出来るから建物は壊れます。あたり前のことです。基本的に活断層の上に建物を作ってはいけないと思います。
しかし、公共の建設物では鉄道や道路のようにどうしての活断層を避けられないときがあります。これらのライフラインが活断層を横断するときには、柔軟性のある盛土にすることが多いようです。日本では、活断層の上に構造物を建てた例は新神戸駅です。新神戸駅は活断層の六甲山断層系を避けきれず、そのかわりプラットホームを支える柱を複数数段に分け設計し、断層のズレを細かく分けた柱で柔軟にズレを吸収する工夫がされています。
また、海外では、アメリカのダムで活断層を避けきれず、ダム形式をコンクリート式から柔軟性の高いフィルダム(土や石のダム)に変更し、さらに、止水の役割を果たすダム中央のコア材(粘土の壁)を予想される断層のズレより広く取り、水が漏れない設計にして対処した例があります。

2012年5月8日火曜日

ダーツの旅3港区芝

港区芝です。中央に東京タワーが見えます。長らく首都圏の電波塔の大役を担ってきました。これからも他の用件で観光客を集めると思いますが、お疲れさまです。この東京タワーは地盤のよい台地の上に立っています。大変理にかなった建設位置です。当時の技術では、先に訪れた下町のような地盤悪いところに大きな塔を建てる技術がなかったのかもしれませんが、当時の建設計画の判断に間違いはありません。大変な酔眼といえます。
 地図で青くぬった東側ところは、昔の海岸線です。ここを江戸時代から埋め立てて平地にしてきました。ここでは地震の揺れが大きくなり、液状化が発生します。注意してください。怖いのは相模トラフなどで起こる海溝型地震と下町直下を震源とする直下型地震です。特に、日比谷の入り江があったところでは関東大震災時の被害が大きかったところでもあります。溜池や古川池跡なども危険なところといえます。

2012年5月6日日曜日

ダーツの旅2墨田区押上

ダーツの旅の2回目は、東京下町の墨田区押上周辺です。中央に開業真近なスカイツリーがみえます。中央西側に隅田川が流れています。この隅田川の東側は、やわらかい泥や砂が厚く堆積しており、地震時の揺れが大きくなります。また、一部、旧河道では液状化しやすく地震に弱い土地です。関東大震災で最も大きな被害が出たところでもあります。このような地盤の悪いところで世界一の電波塔を建てる日本の建設技術はすばらしいものがあります。しかし、東日本大震災でも設計を超える外力がかかりました。もう少し、自然をよくみて地盤のよいところにつくれば、もっと安心できたのではないかと思います。長期的にみて、いつまでこの塔が立っているかわかりませんが、用地や利便性などの社会的要因だけで重要な建物の位置を決めて後で自然のしっぺ返しがこないことを祈っています。
 関東大震災で被害が大きかった浅草近辺は、昔、千束池のあったところです。ここでは、地震時揺れが大きく、液状化の懸念もあります。押上周辺で、怖いのは相模トラフなどで起こる海溝型地震と下町直下に隠された活断層を震源とする直下型地震です。特に、下町直下を震源とする直下型地震ではどのような地震動や地殻変動が起こるかとよくわかっていません。十分に注意したいところです。
 西端に緑色でぬった台地には、しまった礫層や土丹が分布し、地盤がよいので地震の揺れは比較的小さくなります。

2012年5月4日金曜日

ダーツの旅1横浜市鴨居

 初めてダーツを投げてみました。当たったところは地元、横浜市鴨居です。さー、どんなところでしょう。中央に鴨居駅が見えます。東西に鶴見川が流れていて鴨池大橋が架かっています。この鶴見川沿いには、低地(水色)があり、ここはおぼれ谷(谷がそのまま沈んだような低地)のようになっていて、軟らかい泥や砂が堆積しているはずです。ここでは、地震のゆれが大きくなり、一部液状化が起るでしょう。現在、地盤やよう壁に割れ目や段差がある宅地は要注意です。最近の洪水は少なくなっていますが、増水時の浸水にも気をつけて下さい。
 水色の低地の続きで赤く塗ったところは、台地・丘陵地(緑)の谷を埋めた盛土のところです。大きな地震のときすべり出す心配があります。
台地・丘陵地(緑)のところは地震のゆれにくく、心配は少ないと思います。白抜きのところは崖や斜面で地震や豪雨時の土砂災害に気をつけたいところです。
はなしは変わりますが、最近、富士山の噴火にも気をつけ対ところですが、ここでは、火山灰が10cm程度積もるくらいで、庭木の涸れや灰の処理は大変になるでしょうが、家が壊れることはないと思います。今のところ、地震の予知は難しいですが、火山噴火の予知はある程度できるようになってきていますので、少しあんしんしてください。地震の予知は難しい理由はそのうち話そうと思っています。

2012年5月2日水曜日

活断層が地表に出たとき

地下の活断層は地表にどのように影響するかも気になるところです。つまり、硬い地盤が地表に出ていれば、活断層の規模が大きければそのまま地表にでて、宅地地盤を切ります。しかし、東京のように地表にやわらかい地層が厚いときには、地下の活断層は直接地表を切ることはせず、地表がたわむ現象が起ります。これが活とう曲です。この活とう曲は仙台市内にも見られるし、宮城県北部で起った地震は、活撓曲の直下でありました。家を建てるときには、やはり、活断層や活とう曲の位置をさけたいものです。

2012年4月30日月曜日

直下型地震への備え

直下型地震では、震源が近いので地震波がP波(初動の縦のやや小さなゆれ)・S波(遅れてくる横波の大きなゆれ)が、ほぼ間髪をいれずにやっています。このため、ゆれが始まったときには、何も出来なくて、人の生死がその一瞬で決まります。このため、事前の備えが必要となるのです。
最近の多くの地震の被害を数多く見てきましたが、新しい住宅やマンションは耐震設計が優れていて、建物が完全に壊れることはないと考えています。このため備えたいことは、家屋内の家具などに倒れでしょう。その配置や固定が重要です。もちろん生き延びた後の備えも必要です。水や食料の備蓄が必要で、2,3日は自立できるようにしたいものです。
ただし、今まで宅地での耐震として考えていなかった4つの想定外の被害が起きてきています。①液状化、②谷埋め盛土のすべり、③崖崩れ・地すべり、④津波です。これらの被害は現在の普通の耐震設計では対応できないので、自分の宅地がそれらの被害に遭いやすいようでしたら、そのための準備もしていただきたい。
また、④津波は直下型地震ではまず起らないと考えてよいでしょうが、そのうち話します海溝型地震の際、重要になります。

2012年4月28日土曜日

直下型地震

さて、最近、首都圏では直下型地震の懸念が高まっています。この直下型地震にどのように備えたらよいか考えてみましょう。地盤のゆれの大きさは、複雑な要素を含んでいますが、一般的には次のように考えてよいと思います。
都市の直下の10km以上深い硬い岩盤で活断層がずれ、直下型地震が起きる。その波は、岩盤内を伝わって地表に達する。波のゆれの大きさは硬い岩盤では、震源の大きさと変わらない。しかし、軟らかい岩、礫層、砂層、粘土層、埋め立て土と軟らかくなるにつれ地震波は増幅され大きくなっていきます。これが、地盤のゆれやすさです。当然、硬い岩盤が露出する山地はゆれが小さく、やわらかい地層の多い平野ではゆれが大きくなるのです。しかも、東京など軟らかい地層が厚く堆積しているところでは、地震波が軟らかい地層の中で反射を繰り返し、長期間ゆれが続く現象が認められています。また、神戸のように急な山の下では、地震波が集中し増幅する場所があることも指摘されています。
ゆれが大きくなると予想される地盤や場所では、家屋の被害が大きくなるのですぐにでも地震への準備をしたほうがよいでしょう。

2012年4月26日木曜日

直下型地震と海溝型地震

地震を大きく分けると直下型地震と海溝型地震に分けられます。直下型地震は、地殻の中の活断層のズレで発生し、規模の大きいものはしばしば活断層が地表に現れます。これを地震断層と呼びます。都市直下でも起る可能性があり、阪神淡路大震災や中越地震など数多い。それに対して、海溝型地震は、東日本大震災のように陸から離れた海溝沿いのプレート境界がズレて起る地震です。規模が大きく津波を伴うのが一般的です。

2012年4月23日月曜日

活断層と震源

地震は活断層が動いて起ります。つまり、活断層の分布は、地震がここで起りますよということを示しています。活断層は最近繰り返して活動している断層で、今後もズレを起こすものをいいます。つまり、昔の活動を停止した断層や地すべりなどの一過性の地盤表層のズレは活断層とは言いません。
この地下深部の現在も生きている断層が、動いたときに地震が起ります。この活断層が地表に出ていれば、わかりやすいのですが、地下に潜ったままのものもあるので注意して欲しいのです。この活断層があなたの家に近ければ、ゆれにくい地盤でもゆれは大きくなります。活断層が遠ければ、ゆれやすい地盤でもゆれは小さくなります。
当たり前のことです。
 どこの活断層がいつ実際動くかは、研究中でよくわからない点も多いのですが、最近耳にする活断層はなくても地震が起るという表現については、次のような理解が正しいと思っています。
長さが10km未満の活断層は地表に出ることはありません。なぜなら、震源は地下10km以深で発生することが多いからです。長さが足りないので地表に活断層が届かないのです。このため、地表に活断層が出ていないところでも地震は起りますが、M6(長さが10km程度の活断層でのズレのだいたいのエネルギー)程度までで大きな規模の地震はないと考えてほしいと思います。
活断層がなぜそこにあるのか、活断層の端はどうなっているのか、地表のやわらかい地層があると活断層はどうなるのか(とう曲のはなし)、長い活断層ではどこまで一緒に動くのか。まだまだ、わからないことは多いのですが、活火山と活断層との位置関係についても面白い傾向も読み解けます。これらについてはいずれ話したいと思っています。

2012年4月21日土曜日

地盤の良し悪し

地震のゆれの大きさは、あなたの住んでいる地盤や地質の固さと震源からの距離によって決まります。
ゆれの小さいところは、固い岩盤の花崗岩などの深成岩や古第三紀・中・古生代の堆積岩・変成岩が分布するところです。しかし、残念なことに、ここは、急峻な山地が多く、人があまり住めないところでもあります。ゆれの比較的小さなところは、軟岩といわれる新第三紀層や洪積世のよく締まった礫層からなる丘陵地や台地です。ここでは、古代の遺跡や古い集落が多いようです。昔の人は地盤の良いところを良く知っていたわけです。
皆さんの多くが住んでいる平野部のやわからい沖積層が分布するところでは、微高地の砂層が主体となるところでは、平野部の中でもゆれはそれほど大きくない。ここでも古くからの市街地が多いのです。
それに対して、平野部低地のやわらかい粘土層などが分布するところでは、ゆれが大きくなります。昔、田んぼになっていたところです。ここでは、現在新しい宅地が広がっていますので注意したいと思います。
特に、海や池・川の埋立地や湿潤地では、著しくやわらかな地盤となるので、ゆれが特に大きくなります。今まで、民家はなかったところですが、最近新しい宅地が広がってきています。千葉県の浦安などがその例です。
今までの地盤の話は、地震がどこで起きてゆれがどの程度起るかを示していません。一般論として、日本全体がゆれたらここでゆれが大きいか小さいかを言っているだけです。
それでは、あなたの家がどれくらいゆれるかを決める活断層について次回話しましょう。

2012年4月18日水曜日

危ない土地と安全な土地

さて、新年度になり、川崎では桜も咲き終えました。
これから、危ない土地と安全な土地の話をします。地震や豪雨、火山噴火、津波、雪崩、洪水などの自然災害に強い土地と弱い土地があります。さらに、普通に暮らしていても、どうも地盤が傾くなどの現象が起きる土地があったり、隣で工事や造成が始まり家の地盤が少し変になったと感じる地盤もあります。それは、この土地がどうして出来たかを調べるとわかってきます。はじめに、代表的な危ない土地の話をいくつかしましょう。
 その後に、皆さんには、ダーツの旅にでてもらいます。日本地図にダーツを投げて、当たった土地の安全性や危険性の話をしていくつもりです。どこに当たるかわかりませんが、一緒に旅を続けましょう。

2012年2月6日月曜日

はじまり

4月から、技術士夜話の後続のお話で、家族のための地盤の話を始める予定です。
いろいろな市民の方から住んでいる地盤が良いのか悪いのか、大丈夫か。相談あります。
多様化する自然災害や周辺の工事の影響などから家族を守る地盤の話を具体的にしていきたいと思っています。
御期待ください。